2007.09.28 金
◆◆次世代サウンドスケープの誕生◆◆
ヤマハの音響設計技術と作曲家・畑中正人氏のコラボレーションにより、先進のデザイン施設に次世代の音響空間が生み出されました。
会場となったのは、東京ミッドタウンの中にある 21_21DESIGN SIGHT。
9月11日~9月24日に開催された「THIS PLAY!」展にて先進の音響が披露されました。
Photo:Masaya Yoshimura/Nacasa&Partners.Inc.
◆◆五感に響く立体的な音空間◆◆
会場では、展示作品ごとにさまざまな音響効果を演出。指を鳴らしただけで、建物全体に残響が響いたという元の空間に、環境音を流すことで残響をカットするなど、目に見えない効果が随所に使われていました。
川辺のせせらぎや森をイメージしたそれぞれの音が駆け巡るように流れ、まるで本当の自然の中にいるかのように響きます。
中にはこんなユニークな展示も!
移動しても、これらの音は自然にフェードアウトし、次のブースの音へつながるのです。この不思議な音空間はどうやって誕生したのか。その鍵を握る2人のトークイベントが行われました。
◆◆デザイナー・トーク 「オトノデザイン」◆◆
「THIS PLAY!」展期間中の9月21日には、会場の音響デザインを手がけた畑中正人氏とヤマハ音環境デザインの清水寧氏によるデザイナー・トーク「オトノデザイン」を開催。「THIS PLAY!」展のサウンド設計と作曲を中心に「次世代の音環境」についてのトークが繰り広げられました。
作曲家・畑中正人氏
-曲づくりの観点から-
私が建築に対して音をつくる場合、3つの基本の柱があります。
ひとつは「周辺環境との調和」。建物の中に来るまでには、必ず外を通ってきます。だから、外から入ってくる際に違和感がないように計算して音をつくっています。
2つ目は「音をそぎ落として情景をつくる」ということ。今回は各スピーカーに2種類の音しか使っていません。ひとつはピアノの単音。もうひとつは環境音です。シンプルな音だけを出すスピーカーを点在させることで、点と点が線になるように音がリンクする仕掛けをしています。
そして3つ目は「音の反射と残響」です。響きに影響されない音をつくる。もしくは逆にそれを利用する。この部分では、ヤマハ音環境デザインとの連携が不可欠です。今回は、建物が持っている音の特性を把握して、建物を薄いベールで包むように響く音を目指しました。
畑中正人(はたなか・まさと)
作曲家。舞台・建築・アート・広告など数多くの音楽作品を手掛ける。ドイツを拠点にバレエ音楽の作曲などで活躍。2004年に帰国後、建築音楽の分野を開拓し、ヤマハとのコラボレーションを精力的に行っている。
ヤマハ音環境デザイン 清水寧氏
-音響設計について-
我々はホールの音響設計に30年以上携わってきました。電気的に音の向きを変える技術なども開発しています。そこで、このような技術をホール以外でも活かせるのではないかと考え、音環境デザインプロジェクトを立ち上げ、畑中さんと出会うことができました。
「響き」というものは、空間の形で大きく変わります。同じホールでも丸いか縦長かで「響き」はまったく異なります。このような響きは壁の反射、つまり間接音によって生まれます。この会場では、間接音を生かすため、すべての音を壁に向かって出しています。
そして、ビームスピーカーの音の向きを電気的に変えて、音で建物の表面をなぞっていくと、部屋の形によって音が変わっていきます。つまり「建物の特長を音で表現している」というわけです。 照明では間接照明がありますが、音でもそのような効果を狙って「間接音響」と呼んでいます。
ただ、我々は音空間をデザインできても、出す「音」そのものはデザインできない。そこで畑中さんに音のデザインをしてもらっているのです。出す「音」も非常に重要。音空間は、デザインされた音があってこそできあがるのです。
清水 寧(しみず・やすし)
ヤマハ音環境デザインプロジェクトメンバー。ヤマハ株式会社にて音環境デザインに携わり、東京国際フォーラム、福岡シンフォニーホール、新潟市民芸術文化会館コンサートホールなどの大規模ホールの音響設計を担当。
トークイベントのラストは、畑中正人氏の即興演奏で締めくくられました。
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今回のイベントの他にも、ヤマハの音環境デザインプロジェクトでは、畑中正人氏とのコラボレーションによる様々な試みを展開しています。
その代表的なものが、ミラノサローネ2007におけるヤマハデザイン展「scene of tone」。このサイト内では、畑中氏が会場のためにつくった楽曲を聴くことができます。素晴らしい空間音楽をぜひ味わってみてください。
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