“書”って純白の半紙に最初の打点を打ち込むまでが勝負なんです。
書き始めるまでは外から見ると静のように思われるかもしれないですが、心の中はものすごい葛藤が起きているんです。それはもうバイオレンスですよ(笑)。その瞬間一番大切なのは集中力。逆に一点が決まってしまった後は、全て体が勝手に動いてくれるんです。
でも普段の生活の中では中々集中しきれないので、走ったり空手のトレーニングなど体を動かすことで、虚飾を捨て精神と肉体とのバランスが保てるんです。そうするとその日何をどのように書こうかという像がまとまってくるんですよね。そして何の矛盾もない状態で、一人で自分の心と向き合い、自分の体から出たがっている何かを告白するんです。それって周りからするとものすごく無駄なように見えるんですが、その無駄な動きに意味があるんです。そしてそのプロセスこそが作品なんですよ。でも本当に何かつながって心からそれができたと思えるときは1年に1回あるかどうかですけどね。
しかもそれは余裕があるときではなくて、大体が精神も肉体もぎりぎりの時にそういう瞬間が来るんですよね。マラソンのランナーズハイのような・・・。その葛藤こそがすばらしい制作の原点なんでしょうね。これはもう“祈り”に近いですよ。